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執筆者の写真Megumi Yoshizaki

クラリネットのリードの育て方~開封から慣らしまで~

更新日:2020年9月3日


こんにちは!

吉崎めぐみです。

今日のテーマは「リードの育て方」です。

クラリネットを始めたら避けて通れないのがリードとのお付き合いです。


以前Twitterでリードの育て方について質問をいただきました。ありがとうございます!

ご質問をくださった方は中学高校の吹奏楽部でクラリネットを担当し、現在は一般バンドでご活躍中のⅯ様です。


クラリネットの演奏経験が豊富な方でもやはりお悩みはあるようですね。初心者さんならなおのこと。

育て方は選び方にも通じてきますので、その感覚を養うことはとても大切です。



念のためですが、クラリネットのリードを育てるという言い方はクラリネット界で使われる用語です。リード材を購入するとか、増やすという意味ではなく新品のリードを演奏に耐えうるように徐々に慣らす作業のことをいいます。


 

さて、本題に入ります!

結論から言ってしまうと…ズバリこうすれば完璧!というバイブル的なやり方は残念ながら存在しません。悲しまずどうか最後まで読んでください。

ここでは、私が今までの経験をもとに定着してきたやりかたをご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

今回のご質問者Ⅿ様は演奏経験自体はだいぶ積まれていらっしゃるようですが、なかなかご自身に合うリードに巡り会えないということでした。

新しく購入したリードも「当たり」がほとんどなく、残念な思いをされているとのこと。

お使いのマウスピースはヴァンドレンの5RVライヤー、リードは同じくヴァンドレンのトラディショナル(青箱)3半とのことなのでそちらの相性自体は問題なさそうです。

それを踏まえて、新しいリードの育て方を順を追ってお答えしました。

私は、開封から普段使いできるまでおよそ2週間から1か月かけています。



 

新しい箱を開けたら10枚すべて封を開ける。

口の中に入れて湿らせるか、味が気になる場合はコップに水を入れそこにリードを浸す(一瞬でよい。)

※ヨーロッパから日本へ運ばれてきたリード。あちらとは気候(湿度など)まったく違うので個包装のパッケージを開けたら日本の空気になじませるためすぐに浸水させず放置しておく人もいるくらいリードは湿度変化に弱いです。


平らなところに並べる。


1枚ずつ開放のソの音を鳴らして、第一印象を確かめる。

この時、息の強さは強すぎず弱すぎずで吹きます。

初日はソだけか、ソから下の低音域の鳴り方試すのみ。1枚のリードを吹く時間は目安として1分未満です。

開けたてのリードは一気に水分に触れ吸い込みます。水分を吸ったリードは吹いていると先端部分が透明になってきます。

その状態で長時間吹いてしまうと、水分に接触している時間も長くなり、またいきなりたくさん振動させてしまうことになるのでその場でバテてしまいます。リードのヨレやうねりの原因になります。

すこしでもリードを長持ちさせたいと思ったら、吹きたい気持ちをグッとこらえて丁寧に接しましょう。


④前項③のリードを10枚すべて試し終えたら1日目は終了です。

平らな状態で保管、ほこりなどからも守るためにリードケースにしまいましょう。

※リードが入っていた透明のケースや紙のケースに戻す方もいらっしゃるようですが、一度浸水したリードは乾く段階でうねりが出たりとても繊細です。リードを安全で健康に保管するためにガラス板のついたリードケースがおすすめです。


⑤2日目、3日目くらいまでは③の行程を繰り返します。スタッカートや高音域はリードへの負担が大きいのでもう少し慣らしてからにしましょう。


⑥このように徐々に吹き込んで馴染ませていきます。3日目以降は1枚のリードを吹く時間を5分、10分というように少しずつ増やしていきます。

その過程で、吹き心地が良いと感じるものに印をつけておくと後で探しやすいです。

逆にこの時点であまり息が入っていかない印象や、疑問を感じたリードはよけてしまいます。


⑦2週間くらいこの【慣らし】を繰り返していくと、リードの繊維が安定してきて水分の吸収も適度になってくるので低音域の音出しに加えてレジスターキー(左手親指のキー)を押す上の音域も吹いていきます。

Cdur(ドレミファソラシド)の音階をひととおり吹いてみると各音域をカバーできると思います。スラーとスタッカートで試します。


⑧無事に慣らし期間を過ごし、開封から2週間~1か月くらい経ったものが練習や本番での使用に耐えるように育っているということになります。


 

さて、慣らし期間が終わり無事に使用デビューにこぎつけたエリートのリード達も、使っていくうちに劣化していきます。葦という植物からうまれるリード。天然の材料なので無理もないのですが…せっかく育った大切なリードを少しでも長持ちさせるために注意することがあります。

まず、気に入ったリードばかりを使い続けないこと。そうしないと吹きやすかったリードはあっという間にダメになってしまいます。(もさもさしたりして吹きにくくなる)

それを防ぐためには、やはり最低でも2~3枚以上をローテーションさせて使うことです!


リードの保管についてもポイントがあります。日本には四季があり、夏場と冬場では空気の乾燥度合いがまったく違いますよね。

夏場のリードに関しては特に神経質になる必要はないと思いますが(ただし密閉によるカビには注意)冬場に乾燥したときに「リードがない!」という場合は、ジッパー付きの袋にリードケースごと入れて保管すると少し改善されますので試してみてくださいね。

また、リードケース内部の湿度をコントロールするヴァイタライザーというものも売っていますので活用されても良いとおもいます。



 

たまに、ひと箱開けてもすべて開封せず1枚ずつ使う方もいらっしゃるようですが、リードはなるべく箱の中すべてを開封しましょう。

同じ硬さ(厚さ)たとえば3番といっても、3半に近いものから2半に近いものまで入っていることがわかります。

自分にはちょっと硬いな、厚いな(息がたくさんいるな、力がいるな)と思ったリードも紙やすりで整えて(なでて)吹けるようになることもあります。

ただしこの方法はクラリネット歴がある程度ベテランに達していないとなかなか感覚がわかりにくいので初心者の方にはおすすめしません。

もし研究・実験の意味でやってみてい方は小さなガラス板(鏡でも)と380番くらいの紙やすりを指先ほどの細さにカットしたものを用意しましょう。

そしてリードの表面をあまり範囲を広げずに整える感じで、なでる程度からチャレンジしてみてくださいね。


 

もうひとつ、ここで良いリードの選別基準も追加しておきます。


リードの良し悪しの選別ですが、いくつかの基準をクリアしたものが【使えるリード】です。

★無理のない強さの息で吹いたときに反応が良いこと。反応が良いとは、吹き込んだらすぐに音が鳴ることです。

★タンギング、スタッカートの時にも反応が速いこと。

★音域によって鳴りむらがないこと。スロートとよばれる左手ソ♯、ラ、シ♭あたりがスカスカしないこと。

★選別するときに、音色で選ばないこと。あくまで吹き心地にこだわって選びましょう。

吹き心地が良いリードを鳴らしたとき、自動的にその人が持つそのときいちばん美しい音色が出ていると思ってくださいね。


良いリードにも2種類あって、練習で使うものと本番で使うものに分かれます。

練習用は言ってみれば普段着のようなものです。本番用はお出かけ着といった感じでしょうか。

本番用リードを大切に保管するのは良いのですが、使ってバテてしまうのが怖くてあまり吹かずに置いておくのも危険です!

いざ、本番というときに以前と違う様子になっていて大変な目に合うことも…

適度に使って様子をみましょう。



 


いかがでしたか?

このような行程を試してみてもなかなか良いと思えるリードに出会えないというかたは、別の問題が隠れているかもしれません。

もしかしたらマウスピースが合っていないかもしれないし、マウスピースが劣化しているかも。リードの番手が合っていないとか、マウスピースとの相性を無視した選択だったり…OMG!

実際にそのあたりの問題というのはなかなか自分ではわかりにくいかもしれません。

思ってもみなかったところに原因があるなんていうことは、実はよくあることです。


リードにお悩みをお持ちの方、一度レッスンにいらっしゃいませんか?

オンラインでも解決できるかもしれません。

お気軽にお問い合わせください♫


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